もやもや病の研究と治療実績

研究について

もやもや病の研究と治療実績

2010年1月からの課題として次の基礎及び臨床研究をしています。

手術前:小児もやもや病では過呼吸による脳虚血発作を回避することが一番大切です。当院では、3~4分で血流検査が完了する方法考案し、患者の負担軽減を図っています。

  1. 高次脳機能障害
  2. 遺伝子研究
  3. 超短時間脳血流量測定法のさらなる研究

以上の3点について中間報告を予定しております。

もやもや病の治療実績

当院でのもやもや病の手術実績(術者 東保、 原則として直接吻合術と間接吻合術の組み合わせ術を施行しています)。 
<2012年10月11日記載>

  • 当院開設前の12年間で475件の手術を施行しました。
  • 当院開設後の12年6ヶ月で525件の手術を施行しました。
  • よって、24年6ヶ月で1000件の手術を施行しました。
  • 手術の総論
    血流の足らないところに、頭皮血管を脳表の血管に直接つなぐ方法を直接吻合術といいます。
    頭皮下の血管が豊富な組織を脳表にかぶせる方法を間接吻合術といいます。
    私の施行した1000件の手術で、脳表血管の太さが0.2 mmしかなかったのは5件でした。   
    0.25 mmは1件でした。いずれも直接吻合術を施行しました。通常は0.5 mm以上のことが多いですので直接吻合は容易になります。
  • もやもや病手術の特徴と合併症
    もやもや病の手術治療は、手術が終了した直後から始まることが特徴です。
    手術が無事に終了したらもう安心という疾患ではありません。よって、術者もそれを心得ておかなければなりません。また、合併症は手術当日から数日以内が大半で、私は必ず泊まって、万一のために備えます。
    合併症ですが、手術中に起こり得る合併症と手術後起こり得る合併症があります。
    まず前者についてみると、手術中、二酸化炭素の低下による手術直後から脳梗塞になってしま うことです。麻酔科医は二酸化炭素をコントロールしようとしますが、まれに困難な事があ り、2件に脳梗塞を生じました。次に、硬膜を切開すると急に脳が外に飛び出して手術の継続がこんなんになることがあり、直接吻合を間接吻合に変更して手術を早く終わらせなければならないことがあります。4件に生じました。しかし、手術直後何も起こっておらず、神経学的にも悪化を認めませんでした。また、直接吻合術では、脳を包んでいる固い膜(硬膜)の下のくも膜を開いて脳表の血管を操作しますが、くも膜を開くと脳脊髄液が流れ出て脳が沈み、自然にできているバイパスがひっぱられて切れてしまい、出血してくる事があります。11件に生じました。しかし、手術直後何も起こっておらず、神経学的にも悪化を認めませんでした。
      
    次に、手術後の合併症として、患者さんの過換気(多くは泣く、溜め息をつく)煮よって脳梗塞 になってしまう事です。小児で1.2%、成人で4.0%に生じました。直接吻合によって脳に急に血流が増える事によって、けいれんを起こしたり(4件)、脳浮腫による悪化(2件)、それまでに存在した脳梗塞の中に出血する(1件)こともあります。また、感染を起こす事もありいますが、これはもやもや病に限った事ではなく、開頭するとあり得ます。

上記は特に重要ですので、よくお読みいただければと思います。 この24年間、手術方法やテクニックについての研究を行って参りましたが、これからも続けていきたいと考えています。